難産

手術後の経過は、傍から見ると退屈なくらい、順調です。

痩せてなければ、「糖尿病予備軍」ということで局所麻酔だけ、さらに脂肪をかき分けながらの難しい手術となって、術後の経過も、必ずしも良くはなかったのでしょう。ちなみに、「麻酔は肛門周囲のみに効く、仙骨硬膜外麻酔と局所麻酔の併用で行います」という説明でしたが、実際には、麻酔開始と同時に眠ってしまって、次に目が覚めたときには、手術は終わっていました。

さて、買ってきた樹脂粘土を使って、改めて手術内容を説明します。なお、粘土はすぐに乾いてしまうので、思ったようには芸術的試行錯誤ができませんでした。

左が健康な肛門、右が私の肛門(かなりデフォルメしてます)。瘻管が2本あって、その出口が血豆のようになっていました。で、この血豆とその裏にある瘻管を取り除いたわけです。

取り除いた跡の穴には、小さく切ったガーゼが詰めてありましたが、片方は既に外れています。手術後の検診の際に、新たに詰めたりしてくれませんでした。

取り除いた肉片は、「生検に回す」とかで、フィルムケースのような入れ物に入れたものを見せてもらいました(当然、撮影しました)。大きなあさりというか、小さなはまぐりというか、そのヒモみたいな感じでした。専門板には「マカロニ状」という言葉を使う人もいましたけど、そこまでのパイプ感はありませんでした。

肛門にとって、これがどの位の負担になるのか、分かりません。数万回の排便に行うだけの耐久性があるわけですから、括約筋さえ無事なら、二枚貝の1つや2つ分の組織がなくなったところで、何ら問題がないのかも知れない。一方、切除手術の場合、排便時にポタポタくらいの出血があっても心配いりませんというくらいなので、無理に力をかけると、パツンと切れるくらい、ギリギリなのかも知れない。

いずれにせよ、おっかなびっくりが続くわけです。

しかし、染み出す血膿を吸い取らせるためにガーゼを肛門に当てていて、それが断続的に周辺を刺激するため、通常よりも便意を催す頻度が高い。で、催したときに、ブレーキがかかりにくい感じです。

手術後、しばらくの間は、軟便・下痢でしたから、既報のとおり、便器に座って肛門を緩めて、後は重力に従って自由落下させれば足りました。ただ、次第に直腸の様子も落ち着くからなのか、便が固く、大きくなり始めました。

なので、便器に座って肛門を緩めるだけでは。中身が出てこない。下腹部に力を入れて、肛門を押し広げないと、頭すら見えてこない。「出したい」という欲求と、「パツンと切れて大出血したら」という恐怖心のせめぎ合い。それで、便意が引っ込まないようにしながら、肛門を不用意に広げないよう、ヒッヒッフーと、妙な力みを続けることになります。

「ここで一気に力めば、ゴロっと出てくるのに」と経験則から分かっていても、それができない。出てくる便は、小さな隙間を通る分だけになりますから、刀削麺状になります。全部出ないので、すぐにまた、トイレに籠ることになります。