内視鏡検査(胃カメラ)

職場の健康診断で、内視鏡検査(胃カメラ)を受けました。

言うまでもなく、痔瘻との関係は希薄です。

内視鏡検査は、声帯の裏から食道、食道から胃、胃から十二指腸に行くあたりまで、ケーブル状のカメラを突っ込んでいくわけですから、一般に「身体への負担が大きい」と信じられています。

しかも、今回の健康診断では、予め、「コロナウイルス禍でありますので、ご心配な方はバリウム飲んでの胃部レントゲンに変更できます」と、オプションの案内もありました。

少し迷ったのですが、やはり、瘻管を取り除いた跡などにバリウムが詰まって、ややこしいことになるのでないかと思い至り、バリウムでなく、胃カメラを飲むことにした次第。

昔と違って、かなり細くなっているし、予め同意書を出しておけば、ポリープなどが見つかったら、その場で切除してもらえます。胃部レントゲンで普通でない影が写ると、どのみち胃カメラを飲まねばならず、二度手間になります。

なので、さほど「嫌だなあ」という感覚はわきませんでした。

「自分は死体、自分は死体」と思っていれば、喉の奥をカメラが通り過ぎても、むせることはない筈だし、適度に力も抜けるから、短時間で撮影も終わる筈。過去2回の胃カメラは、それで乗り切っています。

なお、前回、こればっかりは我慢ならないなと思ったのが、付き添いの看護夫(つまり男性)が、胃カメラを突っ込んだその瞬間から、「もう少しで終わりま~す、我慢してくださ~い」と、声援し始めたこと。「あと〇分です」などと客観的な情報を提供してくれるならともかく、始まった直後から「もう少しで終わりま~す」では、説得力もへったくれもありません。怒りがわいてきて、「自分は死体、自分は死体」という精神集中の妨げになりました。

で、今日、事前に「何か心配なことはありますか?」と聞かれたので、一応言っておこうかなとも考えたのですが、少なくとも前回と違って、いらっしゃる方が皆さん、十分に理知的な方々のように見えました。いくら何でも、漫才みたいな励ましはしないでしょう。

ちなみに今日は、人生初の鼻から胃カメラ(経鼻)でした。口から胃カメラと違って、よだれがあまり出ない感じでお勧めです。

「自分は死体、自分は死体」という精神集中を行う傍から、どんどんケーブルを手繰り込んでいきます。

「もう少しで終わりま~す、我慢してくださ~い」は、確かにありませんでした。

ただ、こちらも、それとどっこいどっこいでした。

別にむせてるわけでも、頼んだわけでもないのに、死体になりきってる自分の背中を、付き添ってる看護士が、必死にさすり続ける。こちらは死体なんだから、そんなことする必要ないのに。逆に、死体の背中をさすられると、「黙ってさすっているのが女性なら許せるけど、男性だったら嫌だなあ」などという煩悩が出てくるなどして、少し力んだ分だけ、途中、辛くなったりしました。

後日、アンケート調査がある筈ですから、しっかり2点、苦情を書きます。

なお、最初は死体のつもりで目を閉じていましたが、途中から死体であることを放棄して、ケーブルを手繰り込む様子を眺めたり、ディスプレイに表示されるリアル「ミクロの決死圏」を覗き見たりしました。

それで「永久に手繰り込む筈ないから、手元のケーブルがある程度なくなったら、そこで終わるんだ」という自明の事実に気づいてからは、「あと〇センチくらいだろう」などと心の中で秒読みしていました。

何十センチくらい手元に残るんだろうなどと油断していて、まさか、長いケーブルのほとんど全部を手繰り込むとは思いもしませんでした。